手つかずの自然と共に在る
斉藤 松雄

Nature Guide

Profile プロファイル

「人の手で開発されてしまった湿原をもとの湿原に戻していくことができたら。」そう語る斉藤さんは、釧路湿原を大切に、自然の恵みに感謝して日々ガイドをされている。

北海道認定アウトドアガイド(カヌー・自然)、(株)釧路マーシュ&リバー代表取締役。
釧路川カヌーネットワーク事務局や、北海道アウトドア資格制度推進委員会委員、北海道アウトドア資格制度実技試験審査員などを担い、安全対策の連携やアウトドアガイドの資格取得

Storyストーリー

清流に心を預ける時間

釧路湿原にしかないものとは、なんでしょうか。タンチョウの存在であり、街に近いのに大自然があること、そして、海抜2~3メートルの場所に高山植物が咲いていること。釧路特有の気候により、通常標高が高いところに咲く高山植物があちらこちらで見られる。また、大きな特徴のひとつに緩やかな川の流れがある。水の量が多く、海水面の後退により水が引いていき、冷涼な気候により夏でも乾かずに湿地ができた。そのため、岩や石が少なく、清流は音を包みこんでいるかのように、静かに流れていく。
自分でこいで達成感を味わうようなカヌーとは異なり、釧路スタイルのカヌーは、お客さんは手を離して、目の前に広がる大自然と一体になることができる。ゆったりとした流れの中で、川の倒木に水があたる音を聞いて初めて自分が川にいることを思い出す方も少なくないとか。清流に心を預け、ただ流れる旅はどれほど素敵な時間だろう。

手つかずの自然と共に在る

湿原を使わせてもらっているという気持ち

手つかずの自然と共に在る

釧路湿原には国の特別天然記念物であるタンチョウを始め、多くの動植物が生息している。斉藤さんは、「僕らが入ることで、自然がこのままでいてくれて、色々な人に自然の大切さをつたえられれば」という。
カヌーをしていると、タンチョウ、エゾシカや、オジロワシ、キタキツネなどの動物と出逢うこともある。川沿いにタンチョウが餌を取りに来ることもある。そんなとき、カヌーの舳先を動物たちに向けて怖がらせるようなことは絶対に避けているそう。動物たちとの距離感を大切にすることで動物たちは安心してその姿を見せてくれるようになる。
斉藤さんはこの手つかずの自然の大切さをカヌーを通して多くの人の心に残す伝達者のようだ。

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